52歳女性。10年来の2型糖尿病とアルコール性肝障害の既往がある。昨日からの微熱があり、本日から急に悪寒、倦怠感、嘔気、嘔吐、また左下腿の強い痛みを自覚している。痛みは朝には爪先だけだったが、午後になり膝下まで広がり痛みはさらに増強し、また左第3趾が変色してきたという。内服薬は薬手帳の持参がなく詳細不明である。特段変わった食事歴はない。渡航歴はない。2日前に近所の友人に連れられ慣れない磯釣りに行き、海水の入った長靴を脱いだ時に左足に裂創を作ってしまったという。同伴の友人の話では、海水に濡れたために風邪を引いたのではないかと本人は思っていたという。患者の下肢の写真を示す。

最も考えられる起因微生物は何か
1.Streptococcus pneumoniae
2.Vibrio vulnificus
3.Listeria monocytogenes
4.Staphylococcus lugdunensis
解答:2
解説
Vibrio vulnificus による皮膚軟部組織感染症は糖尿病や肝疾患などの免疫低下患者に好発する。 Vibrio vulnificus はとくに暖かい海水中の魚介類、甲殻類や動物性プランクトンなどに付着して増殖することで周囲の海水にも遊出するとされる。汚染魚介類の摂取や皮膚の創傷から人に感染する。本ケースの患者は免疫不全者であり、そのような患者が創部の強い疼痛を訴え、疼痛部の外観は蜂窩織炎というには違和感のある水疱や黒色化などの炎症性・壊死性変化も伴っているため、病歴と合わせて壊死性筋膜炎を疑う。中でも海水への暴露が病歴上疑われ、本微生物の関与を疑う。
出題者 志水太郎先生(獨協医科大学 総合診療医学講座)
出題範囲 皮膚軟部組織感染症